- 避難所での共同生活を避けたい
- ペットを飼っていて離れたくない
ペットを飼われている方は、自宅避難ができない場合、高確率で車中泊を選択することになります。
実際に熊本地震では、ペット用の避難所が用意されましたが、「ペットと離れたくない」という理由から、ほとんどの方が利用せず、駐車場での車中泊を選ばれたことをボランティアの方から伺いました。
ペットを飼われている方は、特に万全の準備を行っておきましょう。
車載用・車中泊用の防災グッズは、市販のものでも、安全性の観点からおすすめできないものがあります。
実際にメーカーに電話で確認も取りましたので、まずは車載用・車中泊用防災グッズの注意点からお伝えしていきます。
- 保存水・非常食は耐温度域を必ずチェックする
- 脱出ハンマーは必ず車に入れておく
車中泊は津波や崩落のおそれがないことが確認された安全な場所で行ってください。
熊本地震では車中泊時にエコノミークラス症候群になり亡くなった方もいますので、十分ご注意ください。
- 長時間同じ体勢を続けない
- 水分を多く取る
- 運動を行う(マッサージをする)
タップできる目次
車載用・車中泊用の防災グッズで気をつけるべきこと
保存水・非常食は車載での安全性が確認されているものを
車載用防災グッズの最大の問題は夏場に車内の温度が50度を超えてくるということです。
車内最高温度 | 車内平均温度 | ダッシュボード最高温度 | |
対策なし(黒) | 57℃ | 51℃ | 79℃ |
対策なし(白) | 52℃ | 47℃ | 74℃ |
サンシェード装着 | 50℃ | 45℃ | 52℃ |
窓開け(3cm) | 45℃ | 42℃ | 75℃ |
エアコン作動 | 27℃ | 26℃ | 61℃ |
出典:JAFユーザーテスト
ほとんどの非常食は「常温保存」で5年、7年といった消費期限です。
「常温」について、食品メーカー大手のmeijiさんのWebサイトにはこのように記載されています。
厚生労働省の「常温保存可能品に関する運用上の注意」では「常温とは、外気温を超えない温度」とされています。
常温保存とは、1年間を通じての日本の温度で、直射日光の当らない、風通しの良い場所での保存をさします。具体的な温度については「日本薬局方の記載の手引き」によると、常温:15~25℃、室温:1~30℃と規定しています。
出典:meiji
ここまで常温保存について書いてきた理由は、実際に販売されている車載用の防災セットに入っている保存水・非常食が「車載に適していないものが一部ある」からです。
ある車載用防災セットに組み込まれている保存水と非常食の製造メーカーに問い合わせて確認したところ、「30度以下の冷暗所での常温保存を前提としているため、車載はすすめません」という回答でした。
自宅での備蓄はよくても、それが車内の備蓄にも対応しているわけではありません。
非常食・保存食として販売されている多くの5年保存、7年保存のアルファ米やお菓子などの多くが「常温保存」で、高温になる車載を考慮していないものですので、十分気をつけてください。
保存水も、通常のミネラルウォーターは長期保存に適していませんし(通常、常温でも半年~1年半程度の賞味期限)、防災用の賞味期限が5年、10年といった長期保存水もほとんどのものが、高温になる車内は品質対象外の商品です。
ここでご紹介する車載用防災セットに入っている保存水・非常食は、車載に適した安全性が確認されていることをメーカーが公表したものです。
きちんとした防災メーカーの防災セットは、安全で安心です。
車載用は乾電池式の防災グッズは避ける
乾電池は液漏れ、発火の可能性がゼロではないため、車内での保管はおすすめしません。
JAF広報の方も下記で、乾電池の車載で破裂の可能性があると言及されています。
「未開封の缶入り炭酸飲料やスプレー缶、使い捨てライター、化粧品や乾電池などを車内に置きっぱなしにしますと、高温により破裂する危険があります」(一般社団法人日本自動車連盟(JAF)広報課)
また、緊急時のために懐中電灯を常備している人も多いだろうが、夏場はくれぐれも注意した方が良さそうだ。
出典:教えて!goo特集
下記でご紹介するLA・PITA「カーセーバー」やファシル「BOSAI BLOCK for CAR」など、車載用防災セットに乾電池式ではない簡易ライトを採用しているメーカーは、こういったリスクを避けたものだと思います。
乾電池式の懐中電灯は安価で便利ですが、あくまでも「防災グッズ」であることを考えると、乾電池式の車載は避けたほうが無難です。
緊急脱出ハンマーは性能試験をクリアしたものを
緊急脱出ハンマーは下の方で具体的にご紹介しますが、車が水没、大雪、土砂崩れなどでドアが開かないとき、窓ガラスを割るためのものです。
持っていてもいざという時に割れないと、脱出できずに命が助からない可能性もあります。
一部の緊急脱出ハンマーは、メーカーが不明なもの、安全性が確認できないものがありますので、JIS規格適合もしくは性能試験をクリアしたものをおすすめします。
合わせガラスは割れない
フロントガラス・リアガラスは「合わせガラス」のため割れませんので、割るのは側面のドアガラス(強化ガラス)です。

自分の車のドアガラスが「合わせガラス」なのか、確認しておく必要があります。(トヨタ、日産)

ホイッスルは運転席周りに置いておく
購入した車載用防災グッズは、トランクや荷室に置いておくと思います。
ホイッスルだけは取り出して運転席の近くに置いておきましょう。
運転席で災害に巻き込まれたりトラブルにあった場合、トランクや後部座席後ろの荷室へ移動できない可能性があります。車体が変形すると身動きが取れなくなることもあります。
ホイッスルは緊急性の高い場面で使用するものですので、運転席に1つは置いておくことをおすすめします。
ワイパーのレバーか、ウインカーのレバーに掛けておくのもいいですね。

おすすめの車載用防災セット一覧
安全面に配慮された車用防災グッズのセットを1つずつご紹介していきます。
車載用防災セット カーセーバー(LA・PITA)
我が家も持っています
防災メーカートップブランド「LA・PITA」の「車載用防災セット カーセーバー」です。
安全に車内保管できる保存水・非常食
7年保存水が2本入っています
非常食
保存水は99.9%不純物を除去、非常食は耐温度域-20度~80度のため、車内での保管が可能です。
さすがはLA・PITAさん、車載用の防災セットも充実しています。
性能試験をクリアした緊急脱出ハンマー
これは快適性を高めるアイテムではなく、生死を分ける重要なアイテムです。
私は大学時代に交通論という講義を受講していましたが、そこで言われていたのが、「この緊急脱出ハンマーだけは車に入れておくように」ということでした。
平成30年7月豪雨でも水没寸前の車から救出されたケースがありました。
Mr.サンデーで放送された救助の様子 pic.twitter.com/EFg8Bra3Ik
— fabdata (@fabdata) July 8, 2018
令和元年台風21号では、亡くなった10名のうち、半数の5名が車中死であったという報道もありました。(出典:産経新聞)
車が水の中に入ると、外からの水圧でドアが開きません。
浸水深区分 | 浸水区分と道路歩行中の被害の発生状況 |
---|---|
浸水深10cm未満 | 走行に関し、問題はない。 |
浸水深10~30cm以上 | ブレーキ性能が低下し、安全な場所へ車を移動される必要がある。 |
浸水深30~50cm | エンジンが停止し、車から退出を図らなければならない。 |
浸水深50cm以上 | 車が浮き、また、パワーウィンドウ付きの車では車の中に閉じ込められてしまい、車と共に流出され非常に危険な状態となる。 |
出典:千葉県津波浸水予測図の浸水深ランク分け(PDF)

このような状況になると、気が動転して冷静な判断ができません。
緊急脱出ハンマーは、「助かるため」「脱出ハンマーがある安心で、少しでも冷静な判断ができるようになるため」という、2つの役割・意味合いがあると思っています。
豪雨や大雪、土砂崩れなどの災害だけでなく、「接触事故による変形でドアが開かない」というケースでも使えますので、防災対策に限らず、脱出ハンマーを車に載せておくことを強くおすすめします。
災害以外でも、港から誤って海へ転落して亡くなる事故のニュースを見る度に、脱出ハンマー周知の必要性を感じます。
乾電池を使わない安全なライト
乾電池を必要としない、軽く折り曲げるだけで発光するライトです。ペットボトルに入れるとランタンとしても使えます。
フック付きでぶらさげられる
車載用防災セット カーセーバーのアイテム一覧
パッケージ | 防災撥水リュック(H38cm×W30cm×D14cm)三角反射板付き |
---|---|
水 | 500ml保存水(7年保存、耐温度域-20度~80度)×2(硬度ゼロ、99.9%不純物除去) |
保存食 | 7年保存クッキー(耐温度域-20度~80度)×1 |
アイテム | 緊急脱出用ハンマー×1、簡易ライト ルミカライト×1(10~12時間・1回使い切り)、蓄光ホイッスル×1 |
防寒対策 | アルミブランケット×1、圧縮あったかブランケット(100×140cm)×1 |
衛生用品 | 簡易トイレ3枚入×1、マスク×1、からだ拭きシート70枚入×1 |
その他 | 救急セット、軍手、レインコート |
公式サイトが最安値
公式サイトから会員登録して購入するとベストレート保証(最安値保証)があります。

BOSAI BLOCK for CAR(ファシル)
我が家も持っています
安全に車内保管できる保存水・非常食
保存水、非常食ともに耐温度域-20度~80度のため、車内での保管も十分可能です。
3WAYポンチョ
反射材付きで、「カサカサ」鳴らない、おすすめのポンチョです。
2種類のトイレ
大便・小便
付属のポンチョを着れば、外からも見えません。
小便
伝言カード
災害時に車を路肩に止めて離れる時には、キーを差したまま、ドアロックせずに、伝言カードに連絡先を書いて避難します。
ダーマトグラフ
フロントガラスに文字を直接書けます。(油性なので雨で消えない)
ティッシュや乾いた布で簡単に消えますよ。
BOSAI BLOCK for CARのアイテム一覧
パッケージ | ケース(約W26×D12.8×H16cm) |
---|---|
水 | 500ml保存水(7年保存、耐温度域-20度~80度)×1(硬度ゼロ、99.9%不純物除去) |
保存食 | 7年保存クッキー(耐温度域-20度~80度)×1 |
アイテム | あんしんペンライト、あんしんホイッスル×1 |
防寒対策 | 3WAYポンチョ(防寒、レインコート、着替え目かくし兼用)、カイロ×1 |
衛生用品 | ハンディートイレ(小便用)×1、ポンチョdeトイレ(大小便兼用)×1、ポケットティッシュ |
その他 | 防塵マスク、反射材付きグローブ、伝言カード、ダーマトグラフ |

命の箱 THE ARK III(エル・ビー・エス)
備蓄品で最も強烈なインパクト
名前から、パッケージから、そして中身に至るまで、最高クラスにインパクトのある備蓄品です。
中身は、非常用飲料水、カロリーメイトのようなブロック食、アルミブランケット、生死に関わる部分だけにスポットを当てたラインナップとなっています。
国連、アメリカ国防総省などが備蓄品として採用
国連、アメリカ国防総省をはじめ、日本でも官公庁をはじめ多数の企業・団体が採用している、国際的な備蓄品です。
アメリカ企業が製造を行い、日本ではエル・ビー・エス社が販売しています。
車内の温度を軽くクリアするほどの耐温度域
飲料水は耐温度域マイナス30度~65度、ブロック食も耐温度域マイナス30度~65度なので、真夏の車内でも問題ありません。
飲料水、ブロック食ともに製造から5年保存が可能です。
個性が強い
パッケージ | ケース(28.4×15.9x7cm) |
---|---|
水 | 125ml×6本(5年保存) |
保存食 | ブロック食(9ブロック)一食あたり387キロカロリー・3日分(5年保存) |
防寒・暑さ対策 | アルミブランケット(135×210cm、体温保持率80%以上)×1 |

車載用・車中泊用のおすすめ非常食
車載用・車中泊用の非常食は、常温保存の食品はおすすめできません。(一般に販売されている長期保存食のほとんどは常温保存です)

The Next Dekadeのクッキーと保存水は自動車メーカーも採用しているという、車載に適した非常食・保存水です。
The Next Dekade 7年保存クッキー
車載用・車中泊用の防災セットにもよく組み込まれているクッキーです。
パンプキン、チーズ、ホワイトチョコ入りココナッツ味がラインナップされています。
耐温度域-20度~80度のため、真夏の車の中でも品質が変化しない、7年保存クッキーです。
The Next Dekade 10年保存クッキー
同じくThe Next Dekadeの10年保存クッキーです。
7年保存よりも少しだけ価格が高くなりますが、10年車に積んだまま放置できるメリットは大きいですね。
こちらは1袋にプレーン、レーズン、抹茶の3種類が1本ずつ入っています。

「The Next Dekadeクッキー」実食レビューはこちら。

車載用・車中泊用のおすすめ保存水
一般に市販されているペットボトルはもちろんのこと、災害用の5年、10年保存水も「常温保存を前提としたもの」は、車載すると品質が変化する可能性があります。
The Next Dekade 10年保存水
The Next Dekadeの10年保存水です。(写真は7年保存と10年保存)
この保存水は、独自の加圧加熱殺菌により99.9%の不純物を取り除いており、マイナス20度以上80度以下に対応しており、車内での保管が可能です。
また、硬度0の軟水のため、赤ちゃんやお年寄りも安心して飲むことができます。
この保存水は販売しているショップが少ないため、大きめの災害があるとすぐに品切れになることが予想されます。
在庫があるうちに、早めに買っておかれることをおすすめします。
車載可能な「The Next Dekade保存水」の記事はこちら。

車載用・車中泊用のおすすめ簡易トイレ

以下の2種類です。
- 便座付き簡易トイレ
- 「汚物袋+凝固剤」の簡易トイレ
便座付き簡易トイレ
こんな感じのものです
我が家で購入した「サンコー 簡易トイレ」

サンコー簡易トイレには、土台が段ボール製のもの以外にも、しっかりしたプラスチック製など3種類用意されています。

「汚物袋+凝固剤」の簡易トイレ

我が家では、「BOS 非常用トイレセット」を用意しています。
中身はこんな感じ
- 汚物袋
- 凝固剤
- 防臭袋

ビニール袋は袋の口をどんなにきつく縛っても、袋全体から臭いが漏れていきます。
この防臭袋はそれがほとんどないため、まったくといっていいくらい臭いが出ません。



車載用・車中泊用のおすすめテント


黒いゴミ袋のような「目かくしポンチョ」を上からかぶるのも良いですが、それでも人の目が気になります。
そこで用意したいのが、トイレ・着替え用のプライバシーテント。
我が家が購入したテント
こんな感じで用を足せます
2人入っても余裕がありますので、子供の世話もできますよ。
トイレ・着替え用テント「Field to Summit」詳細レビューはこちら。

車用防災グッズ・防災セットのまとめ

- 保存水は耐温度域を確認する
- 非常食は耐温度域を確認する
- 脱出ハンマーは必ず積んでおく
- 簡易トイレは万全に
- プライバシーテントも積んでおく
保存水・非常食は健康に関わることで、脱出ハンマーは命に関わること。
簡易トイレやプライバシーテントは、プライバシーに関わることです。

ここから、精神が疲弊してしまい、気力を失うことにもつながりかねません。
車中泊というもの自体、ちょっと無理があることでもあります。
「避難所へは行きたくない」「ペットを飼っていて離れたくない」という方は、事前に万全の対策をされておくことをおすすめします。